合成高分子の分子量分布に関する認証標準物質開発
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概要
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合成高分子が有する平均分子量及び分子量分布は,その化学的・物理的性質を特性付ける上で重要な因子となる.本報では,分子量が数千程度までのオリゴマー領域における分子量分布の高精度計測法について研究を行い,その技術を用いてポリスチレン,ポリエチレングリコール,並びにポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル標準物質を開発した過程について述べる.これらの標準物質は,含有する重合体の各々の組成が値付けされた非常にユニークな標準物質である.標準物質開発は主に超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって行われた.SFCを使用して,まず分子量分布の全く存在しない「均一オリゴマー」を分別採取した.均一オリゴマーは,濃度と分子量を厳密に規定することが可能であるため,次にこれを使用してSFCの各種検出器の精密な校正を行った.オリゴマー領域においては検出器感度の分子量依存性が顕著な場合が多く,検出器の校正時に生じる不確かさが分子量分布測定全体へ与える寄与は決して小さくはない.更に,各々の重合体組成が明らかなこれらの標準物質を使って,MALDI-TOFMSの共同測定を行った結果について述べた.
著者
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齋藤 剛
独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門有機分析科
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高橋 かより
(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門
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松山 重倫
(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門
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齋藤 剛
(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門
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衣笠 晋一
(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門
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