熊本都市域における地下水中硝酸性窒素濃度の現状と地理情報システムおよび窒素安定同位体分析による窒素負荷要因の解明
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概要
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熊本市とその近隣市町村からなる熊本都市域は,1,000 km2を超える面積を有し,100万人市民の飲用水のすべてを地下水で賄う世界的にも珍しい広大な地下水流域であるが,近年,硝酸性窒素(NO3-N)による水質汚染が懸念されている。そこで本研究では,NO3-N汚染の実態と窒素負荷要因の解明を目的に調査研究を行った。本都市域では,NO3-N濃度が4 mg・L-1を超える地下水が多くみられ,10 mg・L-1を超えるものもあった。また,ほとんどの地下水でNO3-N濃度の上昇が認められた。地理情報システム(GIS)を用いた農林業センサスデータ解析から,地下水上流域で家畜排せつ物からの窒素負荷が近年著しく増加していた可能性が示され,窒素安定同位体(δ15N)分析より,主な窒素源は有機態窒素であることが分かった。以上より,本都市域での主な窒素負荷要因は家畜排せつ物や堆肥等の有機態窒素であると結論した。
著者
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川越 保徳
熊本大学大学院自然科学研究科
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富家 和男
熊本大学大学院自然科学研究科
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柿本 竜治
熊本大学大学院自然科学研究科社会環境工学専攻
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松山 賢司
熊本市環境保全局環境保全部水環境課
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糸満 尚貴
大分ケーブルテレコム株式会社
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柿本 竜治
熊本大学大学院自然科学研究科
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