被説得者の印象志向動機が内集団成員による説得的メッセージの処理に及ぼす効果
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概要
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本研究の目的は,被説得者の印象志向動機が内集団成員による説得的メッセージの処理に及ぼす効果を検討するものである。実験1は,被験者は大学生79名で,説得話題に関する議論が後になされることを実験参加者に予期させるか否かによって印象志向動機を操作した。それに加えて,説得者(内集団・外集団)と論拠の質(強・弱)を操作して実験を行った。その結果,議論なし条件では内集団の説得者の説得効果のみが認められた。一方,議論あり条件では,内集団の説得者による説得効果と論拠の質による説得効果が共に認められた。実験2では,議論の予期の操作によって高められる動機(印象志向動機か正確性志向動機)が,個人によって異なるという実験1の示唆に基づき,セルフ・モニタリングの相違によって印象志向に動機づけられる被験者と正確性志向に動機づけられる被験者に分類した。被験者は大学生216名で,実験の手続きは実験1の議論あり条件と同様である。高セルフ・モニタリング群(印象志向動機)は内集団の説得者の説得効果のみが高かった。一方,低セルフ・モニタリング群(正確性志向動機)では論拠の質の主効果のみが認められた。こうした結果に基づき内集団の説得者の特殊性が議論された。
- 日本グループ・ダイナミックス学会の論文
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