macrophageの浸潤度からみた腎炎攻撃因子としての扁桃炎

概要

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　慢性糸球体腎炎 (CGN) に対する治療としての，扁桃摘出 (扁摘) 術の効果は一定でない。これらの差異を，macrophage (Mφ) の腎および扁桃への浸潤度から検討することを目的として検討を行った。腎生検に加えて腎炎治療を目的とした扁摘術の施行された小児CGN17例を対象とした。扁摘後の尿所見改善効果によって良好群と不良群の2群に分けた。個々の症例の糸球体内および扁桃リンパ濾胞内のMφを定量，比較して次の結果を得た。1. 扁桃肥大は経過良好群により強く認められた。2. 扁桃肥大度と扁桃内Mφ浸潤度の間に高い相関を認めた。 3. 糸球体内のMφ浸潤度は両群間に差を認めなかった。4. 扁桃リンパ濾胞内のMφ浸潤度も両群間に差を認めなかった。5. 糸球体内Mφと扁桃内Mφの比較では，良好群に高い相関を認め，不良群では相関は低かった。　換言すれば，肥大した扁桃にはMφの浸潤が強く，摘除により腎炎の経過も良好なことが多いといえる。さらにこれらの例では糸球体内Mφ浸潤度と扁桃内Mφ浸潤度の間に高い相関が認められた。本観察は，糸球体内Mφの腎炎促進性を支持し，扁摘の抗腎炎効果の説明にもつながると思われる。
日本小児腎臓病学会の論文