網膜神経細胞死の再生・分化を制御する因子
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概要
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網膜が傷害されると,ミューラーグリアが網膜前駆細胞に脱分化する.その過程において,網膜の傷害後Wnt/β-cateninシグナルの活性化が重要な役割を果たす.ミューラーグリアより脱分化した網膜前駆細胞は内顆粒層から外顆粒層へ遊走し,レチノイン酸の適用により視細胞へと分化する.同様の網膜再生作用は網膜変性モデルにおいても観察される.これらの知見は,網膜傷害後の修復過程にWnt/β-cateninシグナルが重要な役割を果たすことを示すものであり,Wntシグナルの制御が神経再生を目指した薬物治療の一つとなりうることが示唆される.一方,網膜再生に向けた移植医療につながる基礎研究の一貫として,胚性幹(ES)細胞から網膜細胞への分化に向けた研究が進められており,WntシグナルとNodalシグナルの阻害薬の存在下で浮遊培養をすることにより網膜前駆細胞および網膜色素上皮細胞へと分化することが示された.レチノイン酸,タウリン,N2 supplementの添加により,視細胞への分化が促進する.ES細胞から視細胞への分化制御方法の確立により,ヒトES細胞由来視細胞移植による網膜の再生治療の実現化を大きく前進しつつある.
著者
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赤池 昭紀
京都大学大学院薬学研究科薬品作用解析学
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赤池 昭紀
京大大学院薬学研究科 薬品作用解析学
-
久米 利明
京都大学大学院薬学研究科 薬品作用解析学分野
-
泉 安彦
京都大学大学院薬学研究科 薬品作用解析学分野
-
赤池 昭紀
京都大学大学院 薬学研究科 薬品作用解析学分野
-
泉 安彦
京都大学大学院薬学研究科
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