硫酸ヒドロキシルアミンと鉄（III）-1,10-フェナントロリン錯体を用いる排水中ホルムアルデヒドのフローインジェクション吸光光度分析

概要

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ホルムアルデヒド（HCHO）と硫酸ヒドロキシルアミンとの縮合反応と金属錯体との酸化還元反応を組み合わせたHCHOのフローインジェクション分析（FIA）法を開発した．HCHOは，ヒドロキシルアミンと縮合し，ホルムアルドキシムを生成する．この際，ヒドロキシルアミン濃度はHCHO濃度に比例して減少する．残存するヒドロキシルアミンは，鉄（III）-1,10-フェナントロリン（phen）錯体を還元し，赤色の鉄（II）-phen錯体（λmax＝510 nm）を生成する．この赤色錯体の510 nmにおける吸光度は，定量的に減少するので，HCHO濃度を定量することができる．これらの化学反応を用いるFIAシステムを構築した．最適条件下においてHCHO 0.25〜1.00 mg L−1の濃度範囲で直線性の良好な検量線を得た．検出限界は0.02 mg L−1であった．0.25，0.50，1.00 mg L−1のHCHOの繰り返し測定（n＝5）における併行精度は，2.03，0.80，0.27％であった．1時間当たり15試料のHCHOを計測することが可能である．産業排水を蒸留処理し，本システムを用いて定量したところ，従来法と一致する結果を得た．