腎病変が先行し,透析療法中に診断された顕微鏡的多発血管炎の1例
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概要
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症例は62歳男性.2006年11月に急性の意識障害が出現し近医入院.頭部CT, MRIでは明らかな原因を認めず,血液検査でBUN 160 mg/dl, Cr 25 mg/dlと著明な腎機能障害を認めており,急性腎不全に伴う意識障害と診断された.持続的血液濾過透析を施行され全身状態は改善したが腎機能障害は持続し,同年12月より維持透析導入となった.MPO-ANCAは陰性であり,腎生検は皮髄境界不明瞭であった為実施されず,腎機能障害の原因は不明であった.2008年1月喀血出現.炎症反応の上昇,MPO-ANCA 408.0 EUを指摘され,また気管支鏡検査で肺胞出血を認め,顕微鏡的多発血管炎(MPA)と診断された.プレドニゾロン経口投与及びシクロフォスファミドパルス療法が開始された.以後臨床症状は著明に改善し,MPO-ANCAも陰性化した.本症例は腎病変が先行し,肺出血症状,MPO-ANCAの上昇を認めMPAと診断された稀な症例と考えられ,文献的考察を含めて報告する.
著者
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園本 格士朗
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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宮村 知也
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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高濱 宗一郎
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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中村 真隆
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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安藤 仁
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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南 留美
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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山本 政弘
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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末松 栄一
国立病院機構九州医療センター膠原病内科
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寶來 吉朗
国立病院機構九州医療センター膠原病内科・臨床研究センター
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