一般集団における終末期在宅療養の実現可能性の認識とその関連要因
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概要
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一般集団における終末期在宅療養の実現可能性の認識の関連要因を質問紙により調査した. F県において2006年1月に行われた在宅緩和ケア講演会の参加者を対象とし, 全員から回答を得た(n=61). 終末期在宅療養を実現可能と16%が回答した. 終末期在宅療養の障害は, 家族の負担(80%), 急変時の対応の不安(59%), 急変時の入院の不安(52%)の順であった. ロジスティック回帰分析による多変量解析の結果, 「痛みを和らげるために薬を使うと中毒になる」(OR, 95%CI: 0.29, 0.09-0.99), 「最低限の治療として, 水分や栄養を補給する点滴は最期まで続けるべき」(OR, 95%CI: 0.39, 0.16-0.95)と考えるほど, 有意に終末期在宅療養を実現可能と認識しなかった. 一般集団に対して, 緩和ケアの正しい知識, 積極的治療の利益と不利益, 在宅医療の正しい知識を啓発することが, 終末期在宅療養の実現に必要な取り組みである示唆を得た.
- 日本緩和医療学会の論文
著者
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森田 達也
聖隷三方原病院聖隷ホスピス
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鈴木 雅夫
福島県立医科大学医学部麻酔科学教室
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宮下 光令
東京大学大学院医学系研究科健康科学 看護学成人看護学/緩和ケア看護学分野
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佐藤 一樹
東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻成人看護学/緩和ケア看護学分野
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