ハイイロジェントルキツネザルの糞由来繊維素分解真菌の分離

概要

論文の詳細を見る
植物体繊維素分解真菌は,バイオテクノロジーへの応用や産業利用の観点から非常に注目を集めてきた。そこで本研究では,ハイイロジェントルキツネザルの糞から繊維素分解真菌のスクリーニングを試みた。セルロース,リグニン,およびキシランを唯一炭素源とする培地から25菌株の真菌を分離し,形態的特徴に基づき16グループに分類した。28S rRNA遺伝子の解析結果から,これら分離菌株はAspergillus属,Petriella属,Penicillium属,Paecilomyces属,Trichoderma属,Graphium属,Chaetomium属の真菌であった。ハイイロジェントルキツネザルの糞由来の真菌の分離に関する研究は,これが初の報告である。分離菌株のセルラーゼおよびキシラナーゼの経日的な生産性を調べた結果,菌株E-1(Aspergillus niger)が両酵素の生産性に優れていた。さまざまな炭素源や窒素源の添加が,菌株E-1の生育やセルロースおよびキシラン分解酵素の生産におよぼす影響を調べた。その結果,0。25%のキシランを唯一炭素源とした場合(1。7U/mL)に比べ,生育はほぼ同等であるにも関わらず,リンゴ酸(4。8U/mL)およびコハク酸(5。9U/mL)を添加した場合にキシラナーゼの生産性が向上した。興味深いことに酵母エキスを添加した場合,キシラナーゼの生産性が増加しなかったにもかかわらず,β-キシロシダーゼ,セルラーゼ,およびβ-グルコシダーゼの生産性はキシランを唯一炭素源とした場合と比較し,それぞれ2。9倍(0。43U/mL),3。1倍(0。14U/mL),3。4倍(0。85U/mL)に向上した。
2012-03-00

ハイイロジェントルキツネザルの糞由来繊維素分解真菌の分離

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク