イネいもち病菌の付着器侵入におけるケイ酸の役割
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概要
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ケイ酸がイネいもち病菌の付着器侵入に対する抵抗性を高めるという仮説を検証するために、異なる量のシリカゲルを施用したイネ体における、いもち病菌の葉表皮への付着器侵入割合を比較した。最上位展開葉のケイ酸含有率はシリカゲル施用量に比例し増加し、エネルギー分散X線分析による葉の表面の相対的なケイ酸量もシリカゲルの施用量につれて増加した。光学顕微鏡観察による葉の表面への付着器侵入頻度は、イネ体へのシリカゲル施用量の増加にともない低下し、かつシリカゲル施用量が多いほど、侵入するには噴霧接種後の長い湿潤期間を必要とした。噴霧接種後の湿潤期間が長いほど侵入頻度は高まった。これらの結果はこの仮説を強く支持し、葉の表皮中のケイ酸が付着器侵入に対する抵抗性に関与していることを示唆した。一方、1葉当たりの罹病性病斑数もケイ酸施用量の増加にともない減少した。このことは、ケイ酸が侵入後のいもち病感染に対する生理的抵抗性にも関与していることを示唆している。
- 山形県農業総合研究センターの論文
- 2010-03-00
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