シリカゲルの苗箱施用が水稲苗の活着および初期生育に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
床土のpHを上げないでケイ酸の供給が可能な資材としてシリカゲルに着目し,苗質の向上(充実度,発根力),活着および初期生育の確保に対するシリカゲルの苗箱施用の効果について検討した。1)苗の乾物重,充実度およびケイ酸含有率はシリカゲル施用区で無施用区に比べて高くなった。苗質の向上する要因として,シリカゲルの施用によりケイ酸吸収量が高まり,気孔が開放してみかけの光合成速度が高まったことと,葉身の直立度の向上による光の透過率が高まったことがあげられる。2)せん根処理した苗の発根数および発根力はシリカゲル施用区で無施用区に比べて高くなった。苗の発根力が高まった理由としては,シリカゲルの施用により苗のみかけの光合成速度が高まり苗中のTAC含量が高まったことによると考えられた。 3)シリカゲルの施用が水稲の初期生育に及ぼす効果は茎数を確保するだけでなく,ケイ酸吸収量が多くなることからみかけの光合成速度の向上により乾物生産量が多くなり,1茎当たりの乾物重の大きい茎の確保につながっていると考えられた。4)以上より,シリカゲルの苗箱施用は,苗質の向上,水稲の初期茎数の確保および茎質の向上に対して,極めて有用な技術であることが認められた。苗質向上に対する効率的なシリカゲルの施用量は,1箱当たり250g程度であると考えられた。
- 1999-12-05
著者
-
藤井 弘志
山形大学農学部
-
安藤 豊
山形大学農学部
-
早坂 剛
山形県立農業試験場最北支場
-
藤井 弘志
山形県立農業試験場庄内支場
-
横山 克至
山形県立農業試験場庄内支場
-
藤井 弘志
山形県立農業試験場:(現)山形県新庄農業改良普及所
-
横山 克至
山形県立農業試験場
-
早坂 剛
山形農研水田農試
関連論文
- 2004年台風15号の特徴と山形県における潮風害の実態(栽培)
- 2004年台風15号で潮風害を受けた水稲と塩分を付着させた水稲との被害程度の比較(収量予測・情報処理・環境)
- D352 2004年台風15号による山形県庄内平野の海塩粒子の飛散に及ぼす風向,地形の影響(スペシャル・セッション「産業と気象II〜気象情報・技術の産業への寄与を考える〜」)
- 2004年台風15号の潮風害による水稲被害の特徴と減収率の推定(栽培)
- 電気伝導率を利用した水稲穂部塩分量の簡易測定による潮風害程度・範囲の把握(栽培)
- 水稲におけるケイ酸資材の幼穂形成期施用の有効性
- 登熟期の水稲穂部への海水由来塩分付着害に対するケイ酸による減収の軽減効果
- 栽培 山形県の庄内地域における登熟期の葉色診断による産米の玄米タンパク質含有率別仕分け法
- 水稲に対する日照不足条件下におけるケイ酸の効果
- 15-16 糊熟期の水稲穂部への海水塩分付着害に対するケイ酸の減収軽減効果(15.水田土壌肥よく度,2009年度京都大会)