巨大胚水稲品種「はいいぶき」の育成
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概要
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「はいいぶき」は苗立ちの良い巨大胚品種を育成する目的で巨大胚水稲「奥羽359号(後の「恋あずさ」)」を母、「中国151号」を父とする交配後代より育成した品種である。1996年中国農業試験場(現・近畿中国四国農業研究センター)において交配を行い、以後、系統育種法に準じて育成を進め、2003年以降は系統名「中国183号」を付して地域適応性を検討してきた。2006年度に「水稲農林418号」として登録された。1.出穂期は「はいみのり」より4〜5日早く、成熟期は「はいみのり」より4日程度早い。瀬戸内平坦部では"中生の晩"に当たる。稈長は「はいみのり」並かやや短く、穂長は「はいみのり」並かやや短い。穂数は「はいみのり」より多く、草型は"穂重型"である。稈の剛柔は"やや剛"、稈の細太は"中"で、耐倒伏性は「はいみのり」並かやや強い"強"である。芒は通常生じず、ふ先色・ふ色はともに"黄白"で、粒着密度は"密"、脱粒性は"難"である。2.「はいいぶき」の発芽率は通常品種よりやや低いものの、「はいみのり」よりやや高い。出芽率は通常品種より低いが、「はいみのり」より明らかに高い。すなわち、「はいいぶき」は「はいみのり」と比較して苗立性が優れ、浸漬を十分に行った種子を2割程度多めに播種することにより機械移植が可能となる。3.「はいいぶき」の玄米の外観品質は「はいみのり」に優り、「日本晴」並である。4.「はいいぶき」の玄米千粒重は「はいみのり」並の19g程度で、胚芽重歩合は通常品種の2〜3倍である。「はいいぶき」は搗精時の胚芽残存歩合が「はいみのり」より高く、胚芽精米としての利用に適する。「はいいぶき」玄米および胚芽精米の25℃水浸漬におけるGABAの生成量は、通常品種の2倍程度である。5.「はいいぶき」の発芽玄米の食味は「はいみのり」に優る。また「はいいぶき」は胚芽精米を用いた調理飯として、五目ちらし寿司などの混ぜご飯や炊き込みごはんに適する。6.育成地における普通期移植栽培では「はいいぶき」の玄米収量は「はいみのり」よりやや多収である。7.いもち病真性抵抗性遺伝子はPia、PiiおよびPikを有すると推定され、葉いもち圃場抵抗性は"弱"、穂いもち圃場抵抗性は"やや弱"である。白葉枯病抵抗性は"やや弱"、穂発芽性は"やや難"である。
- 2008-03-00
著者
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