四万十川の一流域における窒素、リン、無機イオンの濃度変動および負荷流出特性
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概要
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四万十川上流の一流域(815ha)において、2000年3月16日から2003年3月15日にかけて窒素、リン、無機イオンの濃度、負荷量の変動実態を明らかにし、各水質項目の変動特性や物質収支などから農畜産業と河川水質との関わりに関する定量的な評価を試みた。以下にその要点をまとめる。1)降水の年平均比負荷はT-Nが18.7kg/ha、T-Pが0.69kg/ha、降水量加重平均濃度はT-Nが0.60mg/L、T-Pが0.02mg/Lであった。2)手計測、手採取による水質評価から、低平地通過後の河川水の濃度上昇や負荷量増大は、T-N、T-P、K(+)、NO2+3(-)-Nにおいて顕著であることがわかった。またNH4(+)-Nは冬の渇水時に濃度上昇がみられるほか夏場にも突発的な濃度上昇が認められた。3)自動測定と修正補完による評価から、山林から河川へ流出するT-N負荷量の一部が地下帯水層へ一時的に貯留される可能性のあることが示唆された。河川水のT-N濃度変動は降水時に低下し、降水後に徐々に上昇するのが一般的であった。しかし代かき、集中豪雨、畜産排水の影響が加わると、それぞれ特異的な濃度、負荷量変動を示した。4)雨が少ない冬期の河川水T-N濃度の高まりは、多量のNH4(+)-Nを含む畜産排水の流入が原因と考えられた。一方雨の少ない春先に生じる河川水T-N濃度の高まりは、代かき直後の田面水の強制落水によるものと考えられた。5)低平地に主たる起源を持つ水質項目はT-N、T-P、NH4(+)-N、NO2+3(-)-N、PO4(3-)-Pで、その河川水負荷量に占める割合は49〜84%であった。低平地における排出源のひとつである農業集落からのT-N、T-P排出負荷量がわずかであったことから、低平地起源負荷量の大部分は農畜産業に由来すると推定された。
- 2009-02-00
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