ダム湖上流に造成した人工産卵場の造成効果と湖内でのアユの成長について
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概要
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1.苫田ダム湖である奥津湖において、国土交通省苫田ダム管理所と共同で陸封アユの調査を実施した。2.奥津湖のプランクトン調査を実施したところ、'04年度調査に比べ量が大きく減少していることが分かった。3.奥津湖に流入する吉井川において成熟状況調査を実施したところ、成熟したアユは奥津湖流入部に降下することが分かった。4.産卵場の確保と産着卵の保護を目的として、人工産卵場を造成したところ、1か月以上にわたり産卵場としての機能が維持され、産卵も良好であった。5.奥津湖に流入する仔魚数を推定したところ、産着卵調査に基づく推定値は24,800千尾となり、流下仔魚調査に基づく推定値909千尾と大きく異なり、週1回の流下仔魚調査で流下仔魚数を推定することは困難であることが示唆された。6.奥津湖内における仔稚魚の採捕調査を10月〜2月にかけて計10回実施し、計157尾の仔稚魚を採捕した。7.52尾の耳石分析を実施したところ、分析魚の推定ふ化日は9月11日〜12月21日、推定産卵日は8月30日〜11月17日であった。アユは、産卵については最低水温の影響を受け、卵の発生については最高水温の影響を受けている可能性がある。8.15尾の胃内容物分析を実施したところ、全長10mm前後の小型魚は空胃で、全長20mm以上の個体はネコゼミジンコ属、ケンミジンコ、ミジンコ属を成長に応じて摂餌していた。9.プランクトン調査及び胃内容物分析の結果、初期の餌料不足が奥津湖における生残に悪影響を及ぼしている可能性が考えられた。
- 2008-11-00
著者
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