雑音電流の統計的性質を利用する離線率推定の一提案
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概要
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電車集電部の離線率測定は,列車高速化に際しての集電性能や集電材料摩耗量ならびに電波雑音・騒音発生量を予測・評価する際に不可欠である.筆者らの前論文で提案した離線率推定法は,雑音電流に対するVHF帯1周波の帯域フィルタ応答波形を用いるので集電パンタグラフの離線測定を簡便に遂行できるが,その反面,フィルタ応答の重なり頻度が高い場合には大きな推定誤差を生ずること,集電部に火花・開放状態が存在する場合ならびに離線率が50%を超える場合には適用できないこと,などの難点があった.本論文は,雑音電流の統計的性質を利用し,フィルタ応答の重なり頻度や集電部の状態には原理的に依存しない離線率の抜本的な推定法を提案する.推定原理は,「アーク中の雑音電流に対する帯域フィルタの応答変動がアーク以外のそれとは統計的に異なる性質をもつ」との事実を利用し,アーク期間をフィルタ応答の離散値データから識別・測定することに基づく.電車集電部の室内モデルとされるしゅう動接点を用いた実験の結果,提案の推定法で接点のしゅう動状態を支配する通電電流とは無関係に離線率を正しく推定できることが確認された.
- Institute of Electronics, Information and Communication Engineersの論文
- 1989-06-00
著者
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