「蔵書回転率」と「蔵書貸出率」を指標とする貸出データの分析調査--奈良大学における図書館資料利用の傾向について
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概要
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奈良大学図書館における資料利用の特徴を把握するために、2004年(暦年)1年間の貸出データを集計し、蔵書回転率と蔵書貸出率を指標とする分析調査を行った。1945年から2003年の問に出版された図書についての分析では、「資料の利用頻度は出版年からの経過年数が増すにつれて低下する」という計量書誌学の経験則(「オブソレッセンス」と呼ばれる)が当館でも当てはまることが確認された。直近15年間に出版された図書に関しては、和・洋・中別で比較した場合は和図書の、購入・寄贈別で比較した場合は購入図書の貸出が多く、また予算区分別では文学部選書枠による購入図書の蔵書回転率が社会学部・教養部のそれより高いとの結果が得られた。主題分野別ではNDCの2類(歴史、地理)、7類(芸術)、9類(文学)のほか、新書や文庫本を中心とした「K」(教養文庫)で高い蔵書回転率・蔵書貸出率が観察された。他方、「B」と「M」(遺跡発掘調査報告書)の利用度は蔵書回転率・蔵書貸出率のどちらから見ても全分野中で最も低いなど予想外の実態も明らかになった。これらの知見は、利用の活発な分野での受入数の拡充、貸出回数の少ない資料群に対する別置や除籍の検討などの形で、図書館業務にフィードバックできると考えられる。
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奈良大学 | 論文
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