漢字認知における大脳半球間の機能的差異について
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概要
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人間の大脳半球間の機能的差異に関する神経心理学的研究によると,仮名と漢字とでは,優位半球が異なる可能性が示唆されている.たとえば,岩田(1976)によると,純粋失読の患者の場合には,仮名の音読はできないにもかかわらず,漢字の音読はある程度可能であるということである.また,笹沼(1977)によると,左半球前言語野の損傷による失語症の場合には,仮名や抽象語の継時的分析に障害がみられるが,漢字の認知は比較的良好である.ところが,左半球の言語野全体に及ぶ損傷による失語症の場合には,言語機能がほとんど完全に崩壊しているが,空間的・総合的処理の可能な具体語(漢宇表記)の認知能力は,わずかに残存しているということである.このようなことから,笹沼(1977)は,仮名や抽象語,低頻度語は主として左半球で処理され,漢字や具体語,高頻度語は主として右半球で処理されているのではないかと論じている.
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奈良大学 | 論文
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