四国山村・高知県権原町の農家における育成林の選択について
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概要
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わが国における育成林の地域的な展開過程とその地域類型については,これまで若干の総括と論考において指摘してきた.本論で対象とする梼原町における育成林化は,昭和30年代のエネルギー革命にともなう薪炭生産の斜陽化の中で,新たな林野利用として育林業を選択することによって成立した後発型育成林業地域のうち,西南日本に属する事例としての意味をもっている.このような後発型育成林業地域のうち東北日本に属する事例については,岩手県の北上山地における川井村をとりあげてすでに分析を試みた.そこでは,薪炭不況の中で,上層農は米価支持政策に支}られた形で開田による水田経営の規模拡大を指向し,中層農以下層の中で工芸作物や畜産の導入によって直接的な現金収入へ指向した層ではなく,水田農業をベースに自家労働力の余剰分を造林補助金によって消費し育林投資が可能になる層によって小規模な育成林化がすすめられたこと,それゆえ農家の手による育成林化はテンポが小さく,一方大規模な山林所有者は経済価値の低下した天然林野を分収形態による他律的な育成林化に委ね,それによる育成林化が卓越すること,などについて指摘した.これらの性格は東北地方を中心とする東北日本のいくつかの事例から,その時期における東北日本型の育成林化の特性として一般化することが可能であると考えた.
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奈良大学 | 論文
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