宝徳本「太平記」復元考--河村秀頴校合本による
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概要
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尾張藩士稲葉通邦が、親友神村忠貞所蔵の宝徳年間奥書を有する古写本『太平記』三十九巻(巻二十二は欠)の書写かつ校正を了えたのは安永十年(一七八一)二月のことであった。この通邦書写本は、今日国立国会図書館に現蔵、宝徳本『太平記』と通称されるが、巻一から巻十までしか残存しない零本で、それが故に奥書年代の古さにもかかわらず、さして重視される伝本ではなかった。だが同じ頃(通邦が書写したやや後かと推される)同藩の国学者河村秀頴が、その架蔵無刊記整版本『太平記』(以下これを河村本と呼ぶ)に問題の宝徳古写本と整版本(流布本)との校異を朱書しており(名古屋市立鶴舞中央図書館蔵)、これによって宝徳本の巻十一以降の本文の様相をかなりの程度具体的に窺い知ることが出来る。小稿は河村本の校異による宝徳本の復元、および諸本の中での位置付けを試み、そこから派生するいささかの問題を提起しようとするものである
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奈良大学 | 論文
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