「信濃国聖事」のなりたちとその語り手
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概要
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古本説話・宇治拾遺にほぼ同文で収められている「信濃国聖事」は、その語り口に、それらの作品成立期以前の大変古い要素が指摘でき、物語の主要部分は、主人公命蓮聖が活躍した延喜のころからさほど下らない時期に、東大寺界隈という古代の物語生成の一聖域において語り始められたと見られるものである。現伝のその物語は、冒頭部・飛倉の段・延喜加持の段・尼君の段という起承転結の四段構成で成り立っているが、用語や語り口を詳しく検討すると、冒頭部・飛倉の段・尼君の段でなりたっていた老女からの聞書き風の物語に、これもまた起承転結構成でつくり物語された延喜加持の段を挿入して成立させたものと見てとれる。宇治拾遺中の過半を占ある平安中ごろ以前の多くの物語とも用語や語り口を共有するこの物語は、総じて宇治大納言源隆国の語り口であることが検証できるものである。
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奈良大学 | 論文
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