Pathogenic Variation of Pyrenophora teres Isolates Collected from Japanese and Canadian Spring Barley
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概要
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北海道およびカナダの春播オオムギがら採取した22の大麦網斑病菌株(Pyrenophora teres Drechs.)を世界各地のオオムギ38品種に幼苗接種し、病斑指数によって病原性の変異を検討した。分散分析の結果、菌株の病原力ならびに品種の抵抗性には有意差が認められたが、菌株と品種の交互作用は統計的には有意でなかった。各菌株の反応をFinlay-Wilkinson(1963)の回帰分析によって解析したところ、北海道とカナダの菌株で病原性反応に差が認められた。この傾向はカナダの菌株のうち、通常のNet typeの菌株よりも斑点状病斑を示すSpot typeの菌株で顕著であった(Fig.1)。さらに、菌株と品種の交互作用を詳細に解析するために相互作用と相乗交互作用モデル(AMMIモデル)を適用して交互作用に関する主成分分析を行った結果、各菌株は日本のNet type、カナダのNet type、カナダのSpot typeの3群に分けられた(Fig.1)。各菌株について群間ならびに群内の相関係数を算出したところ(Table5)、Net typeの菌株相互の相関係数は0.601~0.969と相対的に高かったが、一部の菌株と品種の組合わせでは抵抗性反応の逆転がみられた(Fig.4)。一方、Spot typeの菌株とNet typeの菌株の相関係数は0.302~0.538と低く、両者の病原性は多少異なることが示された。このような一部の菌株と品種の間に認められる弱い交互作用は、抵抗性を支配する主働遺伝子の特異的な反応が、いわゆる圃場抵抗性を支配する微働遺伝子の作用によって修飾された結果と考えられる。Twenty-two isolates of Pyrenophora teres Drechs. collected from Japanese and Canadian spring barleys were inoculated to 38 barley varieties having various genetic backgrounds. The analysis of variance for the discase ratings showed that there were significant differences both in the virulence of isolates and the resistance of varieties. However, the interaction among isolates and varieties was not statistically significant. Both Finlay-Wilkinson regression analysis and principal component analysis by Additive Main effects and Multiplicative Interaction effects(AMMI)model classified the isolates into three groups,which were different in origins and sympton types. A spot tyte isolate was distinguished from net type isolates by its generally high virulence. A slight pathogenic differentiation was suggested between Japanese and Canadian net type isolates.
- 岡山大学資源生物科学研究所の論文
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