呼吸器疾患に対する温泉療法 ―その臨床効果と作用機序―
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概要
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Spa therapy which has been performed for patients with respiratory disease, particularly for those with asthma and pulmonary emphysema for last 22 years demonstrates that spa therapy is effective for asthma and pulmonary emphysema.The characteristics of patients with respiratory disease has been changing during last 22 years : the frequency of patients with steroid-dependent intractable asthma (SDIA) tends to decrease inspite of an increase in number of those with asthma who has been admitted at Misasa MedicalCenter for spa therapy.The frequency and number of patients with pulmonary emphysema has been increasing in recent years. Spa therapy has direct action mechanism for airways such as improvementof subjective and objective symptoms, and improvementof ventilatory function, bronchial hyperresponsiveness, and hyperinflation of the lungs. The therapy has also indirect action mechanism for other organs excluding the airwayssuch as improvement of suppressed function of adrenocortical glands, psychological relaxation, and an increase in SOD activity. These indirect actions of spa therapy play an important role in treatment of the disease.呼吸器疾患に対する温泉療法は,最近の22年間にわたり行われてきた結果,その有用性は十分明かとなっている。この22年の間に,温泉療法を受ける対象もかなり変わってきており,例えば気管支喘息では,ステロイド依存性重症難治性喘息の全症例に対する割合は明らかに低くなってきている。また,COPDでは最近全症例に対する肺気腫の割合も,また症例数も著明に増加しつつある。一方,温泉療法を求めて来院される症例数は年ごとに増加する傾向にあり,初期の5年間と比べ,最近の5年間では,気管支喘息では8.2倍,また肺気腫では34.8倍の増加が観察されている。呼吸器疾患に対する温泉療法の作用機序としては,直接作用として,自・他覚症状の改善,換気機能の改善,気道過敏性の改善,気道抵抗の低下,肺の過膨脹の改善,過分泌の抑制などが観察される。一方,間接作用としては,副腎皮質機能の改善,精神的リラックス,抗酸化酵素であるSOD活性の克進などが観察され,これらの間接作用も気管支喘息の病態改善に重要な役割を果しているものと考えられる。
- 岡山大学医学部附属病院三朝医療センターの論文
- 2004-12-01
著者
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