アクチニダイン酵素処理にて生じたI型コラーゲンの生化学的特性の変化
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概要
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産業廃棄物として処理されるキハダマグロ(Thunnus albacares)の皮部から希酢酸水溶液により酸可溶性Ⅰ型コラーゲンを抽出した。ペプシンあるいはアクチニダインにてⅠ型コラーゲンを限定加水分解してアテロコラーゲンあるいはAP - コラーゲンを調製し、生化学的特性を比較・分析した。SDS -ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果、これらコラーゲン試料の構成成分は異なり、さらにAP - コラーゲンの鎖間架橋結合は消失していることが示された。円偏光二色性スペクトル測定の結果、AP -コラーゲンはアテロコラーゲンと同様にコラーゲンに典型的な3本らせん構造を保持することが明らかとなった。また、AP -コラーゲンとアテロコラーゲンのエタノールに対する溶解度を測定した結果、AP -コラーゲンはエタノールに対して高い親和性をもつことが示された。さらに両コラーゲンの水分相対蒸発量を調べた結果、AP -コラーゲンの保水力は著しく向上することが確認された。測定後の観察結果より、保水力の差はコラーゲン自己会合体の超分子構造の違いが深く関係することが示唆された。以上の結果より、ペプシンとアクチニダインのⅠ型コラーゲン切断部位は明らかに異なり、精製した両コラーゲンの生化学的特性は変化することが示された。しかも、アクチニダイン処理コラーゲンは3 本らせん構造を保持することから、新たな生化学的特性を生かしたコラーゲン・タンパク質の有効利用が期待される。
- 近畿大学先端技術総合研究所,キンキ ダイガク センタンギジュツ ソウゴウ ケンキュウショ,Kinki daigaku sentangijutsu sogo kenkyushoの論文
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