New Orientations in Language Learning Motivation : Intrinsic/Extrinsic Motivation and Self-Determination Theory
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概要
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Clément & Kruidenier(1983)は,統合的-道具的動機づけという2分法による分類の問題を指摘し,様々な言語環境や学習環境を考慮して動機づけを規定することを主張している。ここでいうの動機づけとは,厳密にはオリエンテーションを意味し,Clément et al.(1994)やBelmechri & Hummel(1998)らの同様の研究によって,このオリエンテーションという概念が,これまでの動機づけ研究に新たな光を与えはじめている。さらにDörnyei(2003)は,これまで社会心理学的なアプローチの中で議論されてきた統合的-道具的という枠組みに代わる認知的なアプローチとして,内発的動機づけと外発的動機づけの重要性を指摘している。一般的に,内発的動機づけと外発的動機づけの区分は,活動それ自体が目的で,その活動の遂行から得られる満足以外に明白な報酬を受け取らないとき,それは内発的動機づけに基づく行動といわれ,活動が何か他の目的(外的報酬の獲得や罰の回避など)のための手段として行われているとき,それは外発的動機づけに基づく活動とみなされている。自己決定理論とは,内発的動機づけと外発的動機づけを自己決定の段階という連続体でとらえると同時に,自己決定を促進する要因として社会的文脈を強調した理論である。本稿では,言語学習のための内発的動機づけと外発的動機づけの妥当性と信頼性を検証してきた筆者らによる先行研究に基づき,これらの動機づけとClément & Kruidenier(1983)のオリエンテーションとの関係や,Deci & Ryan(1985)の構成概念とのいくつかの類似性を提示している。さらに,言語学習における学習者の努力と達成度の重要性を指摘し,内発的および外発的動機づけを組織する理論的枠組みを提示している。しかしながら,いくつかの課題は今後の研究に委ねられている。第1に,内発的および外発的動機づけと,動機づけに関して最もよく知られた研究である統合的動機づけとの関係が挙げられる。統合的動機づけは,言語学習に対して学習者の積極的な態度を強調する点において内発的動機づけと類似しているが,自己決定理論をなす構成概念との関係は未だ明らかになっていない。第2に,学習動機をその学習環境と関連させながら検討する必要性である。Dörnyei(2001)は,言語学習における自己決定理論のパラダイムは,教室環境や教師の役割について学習者がどのように認知しているか,などを調べる上でとても有効であると述べている。しかしながら,これらの枠組みにおける実証研究はまだ探索的な段階に過ぎず,今後さらに教育的示唆という視点から議論されなければならないであろう。
- 大阪教育大学教科教育学研究会の論文
- 2006-03-25
著者
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