薬物検査の合憲性-連邦最高裁判例理論の検討-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アメリカ連邦憲法修正四条は、前段で「不合理な捜索・押収」(unreasonable searshes and seizures)を禁止し(「合理性条項」)、後段で令状は「相当な理由」(probable cause)に基づいて発付されなければならないなどの令状発付のための要件を定めている(「令状条項」)にすぎず、不合理な捜索・押収とはいかなるものをいうのか、それに対しどのような保護が与えられるのかは、解釈に委ねられている。①「ルールに基礎を置く」(rule-based)アプローチは、修正四条が令状主義を採用したものと解し令状によらない捜索・押収は・令状主義の例外にあたる場合を除いて、不合理であるとする。これに対し、②「衡量」(balancing)アプローチは、捜索・押収は確保される政府の利益と制約される個人の利益との比較衡量を内容とする「合理性の衡量テスト」によってその合憲性が判断されると解するものである。
- 明治大学法律研究所の論文
- 2004-03-10
著者
関連論文
- アメリカ合衆国最高裁判所2007年10月開廷期刑事関係判例概観 「英米刑事法研究(15)」
- 英米刑事法研究(12)アメリカ合衆国最高裁判所2005年10月開廷期刑事関係判例概観
- 英米刑事法研究(10)アメリカ合衆国最高裁判所2004年10月開廷期刑事関係判例概観
- 嫌疑に基づかない捜索と修正四条の保護
- 任意捜査の適正に関する比較法的研究
- 地下鉄利用者に対する所持品検査の合憲性--MacWade v. Kelly, 460 F. 3d 260 (2d Cir. 2006)
- 最近の判例 Ilinois v. Caballes, 543 U. S. 405 (2005)--交通違反による自動車停止中における薬物探知犬使用の合憲性
- 刑事裁判例批評(41)任意捜査の限界と現行犯逮捕後に収集された被告人の尿の鑑定書等の証拠能力[東京地裁平成18.2.21判決]
- 英米刑事法研究会(5) アメリカ合衆国最高裁判所刑事判例研究 アメリカ合衆国最高裁判所2003年10月開廷期刑事関係判例概観(上)
- 山田道郎著『証拠の森-刑事証拠法研究』
- ミランダ違反自白と派生証拠の許容性-Missouri v. Seibert,124 S. Ct.2601(2004)
- いわゆる反復自白の許容性判断方法 : 最近の連邦最高裁判決を契機に(渥美東洋先生退職記念論文集)
- Thornton v. United States, 541 U.S. 615 (2004)--「今さっきまで自動車に乗っていた者」を逮捕し,パトカーの中でその身柄を拘束している場合でも,逮捕に伴いその者の自動車を無令状で捜索できる
- United States v. Banks, 540 U.S. 31 (2003)--家宅捜索令状の執行にあたり,ノックし来意を告知した後,15秒ないし20秒経っても何ら居住者から返事がない場合において,住居への強行立入りを行うことは第4修正に違反しない
- 英米刑事法研究(2)アメリカ合衆国最高裁判所刑事判例研究 ミランダ違反自白とその派生証拠の許容性--Missouri v. Seibert,124 S. Ct. 2601(2004); United States v. Patane,124 S. Ct. 2620(2004)
- 情報収集を目的とした自動車検問の合憲性
- 合理的な嫌疑の有無とその判断方法-United States v. Arvizu, 534 U.S,266(2002)-
- 薬物検査の合憲性-連邦最高裁判例理論の検討-
- 被疑者に対する公的弁護制度の対象事件 (特集 公的弁護制度の在り方)
- 判例評論 最新判例批評(8)空港で挙動不審者としての職務質問を受けた際、所持していた水溶メモ紙片を水の入ったコップに入れようとするのを制止しようとした警察官に対し、腹部を殴打するなどした事案について、職務質問等は適法で、公務執行妨害罪が成立するとされた事例(東京地判平成14.3.12)
- アメリカにおける排除法則の現況 (特集 排除法則の課題と展望)
- Kyllo v. United States, 533 U.S. 27, 121 S. Ct. 2038(2001)--令状によらない熱画像器(温度感知器)の使用が第4修正に違反するとされた事例
- 自動車をめぐる捜索・差押え (特集 捜索・差押えの現代的諸問題)
- 「相当な理由」要件に対する「特別の必要」の例外--最近の〔アメリカ〕連邦最高裁判決を契機に
- 合理性の衡量テストの適用とその限界
- 緒言:刑事訴訟法の来るべき危機
- 最新重要判例評釈(41)ホテル客室内に立ち入って行った職務質問、所持品検査、現行犯逮捕等の手続の違法が「重大な違法」にはあたらないとされた事例(東京高判平11.8.23判タ1024・289)
- 外国判例紹介 薬物犯罪摘発のための自動車検問の適法性--City of Indianapolis, et al., v.Edmond et al., 68 Crim.L.Reptr.194(2000)
- 現代の公共の安全:東洋は西洋と出会えるか
- 修正四条の保護と「プライバシーの合理的な期待の減少」
- 最新重要判例評釈(22)接見指定規定の合憲性--最大判平成11.3.24 民集53・3・514
- 外国判例紹介 有罪の答弁と量刑審査における自己負罪拒否特権の保障--Mitchell v.United States,119 S.Ct.1307(1999)
- 任意捜査と権利制約の限界
- Knowles v. lowa, 119S. Ct. 484(1998)--サイテ-ション交付に伴う自動車の無令状捜索が第4修正に違反するとされた事例
- 薬物検査の合憲性
- Whren and Brown v.United States,116 S.Ct.1769(1996)--他罪調査を目的とする交通事犯者の一時停止(抑留)が合憲とされた事例
- 令状に基づく捜索の現場で警察官が被告人に暴行を加えた違法とそれ以前に発見されていた覚せい剤の証拠能力(特別刑法判例研究34)
- ミランダ判決30周年に寄せて
- 薬物検査の適法性--連邦最高裁判決を手がかりとして
- 自動車に対する無令状捜索・差押の適法性
- 最近の判例 Arizona v. Gant, 556 U.S. _, 129 S. Ct. 1710 (2009)--逮捕に伴う無令状の自動車捜索が許される場合
- 最近の判例 Pearson v. Callahan, 129 S. Ct. 808 (2009)--合衆国法典42編1983条による損害賠償請求に対し限定的免責を認めるべきかどうかに関する新たな判断方法.
- アメリカ合衆国最高裁判所2009年10月開廷期刑事関係判例概観(上)
- 書評 椎橋隆幸著『刑事訴訟法の理論的展開』
- 「自動車の例外」による自動車内所在の容器に対する無令状捜索--California v.Acevedo,111 S.Ct.1982(1991)
- 自動車に対する無令状検査の許される範囲(アメリカの刑事新判例紹介-127-)
- モ-タ-・ホ-ムに対する無令状捜索が適法とされた事例--California v.Carney,471 U.S.386,105 S.Ct.2066(1985)
- 無令状の自動車捜索が許される場合における捜索の範囲(アメリカの刑事新判例紹介-72-)
- 逮捕に伴う無令状の自動車捜索が許される範囲(アメリカの刑事新判例紹介-67-)
- 押収物の所有者たる被告人の証拠排除申立権(アメリカの刑事新判例紹介-62-)
- 後に違憲と判断された条例に基づく逮捕の有効性(アメリカの刑事新判例紹介-55-)
- 任意捜査の適正に関する比較法的研究
- 地下鉄利用者に対する所持品検査の合憲性--MacWade v. Kelly, 460 F. 3d 260 (2d Cir. 2006)