[研究論文]シテアル再考 -他動性の観点から-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
シテアルとシテイルとの使い分けについては従来、意図性が関与していると考えられ、日本語教育においてもそのように説明されてきた。しかし、その多くは、動詞の自他という語彙的側面とシテアル、シテイルという文法的側面を混同した結果導出されたものであり、実情を反映しているとは言えない。そこで本稿は、沖縄県内大学に在籍している日本語母語話者にたいしてシテアルの自然さと他動性にかんするアンケート調査を行い、シテイルとの使い分けと使用条件について考察した。その結果、シテアルが実現しやすいのは他動性のもっとも高いプロトタイプ的他動詞であることがあきらかになった。また、それ以外の動詞の場合でも以前に成立した運動の影響が主体に残っていると認識される状況が設定されれば、シテアルが可能であることがわかった。これらの結果から、シテアルとシテイルの違いも、シテアルの対象指向的な特性から説明できることを確認した。The Shite-aru form has been analyzed to date as the expression of a state resulting from some previous volitinal action. However, it still remains to be seen as to what kind of verbs is more naturally used with the Shite-aru form. Therefore I surveyed native sprekers of Japanese belonging to a university in Okinawa on naturalness of the Shite-aru form, and pondered the difference of use between that form and the Shite-iru form and condition of its use. As a result, it became clear that the Shite-aru form is most naturally used with prototypical transitive verbs. In addition, the paper shows that the Shite-aru form with transitive verbs deviated form prototype was possible, if it is used under the situation that an influence of the previous action is recongnized to the subject. Lastly I point out that the Shite-aru form has the object-oriented feature.
著者
関連論文
- [研究論文]シテアル再考 -他動性の観点から-
- シテアルとスルーシテイルとの関係について
- 留学生の地域語にたいする意識 -沖縄を事例として-
- 副詞節の階層性について
- 外国人留学生との相互交流活動による中学生の気づきと意識の変容
- 複合接続詞の分類と副詞節の性格
- 中学生との交流をとおしたプロジェクトワーク : 初級レベル日本語クラスでの試み
- 現代日本語の後置詞について