巨大水腎症を伴った腎盂癌の1例

概要

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62歳男。患者は肝機能障害で通院中, 造影CTで左半側を占める長径20cmの水腎症が認められた。患者希望により経過観察としたが, 約1年後, 突然左側腹部痛, 腹部膨満感が出現した。造影CTでは23×17×31cmの正中を超えて広がる左巨大水腎症が認められ, 腎盂内に出血を起こしていると考えられたが, この時点で腫瘍性病変やリンパ節の腫脹は指摘できなかった。緊急に左腎瘻造設術を施行したところ, 黒褐色血性の約7000mlの腎盂内容液の排出がみられ, 腎瘻からの尿細胞診で尿路上皮癌class Vが検出された。そして, この腎盂内容液排出後, MRIで腎盂内を調べたところ腫瘍と思われる隆起性病変がみられ, 肝・傍大動脈リンパ節・胸腰椎に転移巣を認めた。また, 胸部CTでは微少多発転移巣が確認された。以上より, 本症例は巨大水腎症を伴う左腎盂癌, 多発転移と診断され, 全身化学療法ならびに放射線療法を開始したところ, 肝転移巣は徐々に増大し, 治療開始1年3ヵ月後には肝不全を起こし, 患者は最終的に死亡となった。