放射線照射後の対側陰嚢皮膚に再発した精巣悪性リンパ腫の1例

概要

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71歳男。1999年に右陰嚢腫脹が出現し, 近医で右高位精巣摘除術を施行され非ホジキンリンパ腫と診断された。その後当院にてCHOP療法, 予防的放射線照射を行い, 一度は寛解に至ったが左陰嚢腫脹が出現した。開放生検を施行し, 精巣実質に悪性所見を認めなかったため精巣摘除は行わなかった。皮膚は病変との境界が不明瞭であったため切除しなかった。陰嚢皮膚と精巣鞘膜の標本を採取した。病理所見で精巣鞘膜には悪性細胞の浸潤を認めなかった。陰嚢皮膚にはクロマチンに富み, 大小不正な核をもった悪性リンパ球の浸潤を認めた。免疫染色にてCD20陽性であった。以上より, 精巣悪性リンパ腫の対側陰嚢皮膚再発と診断した。約3ヵ月後, 鼻腔, 歯肉に再発を認め, 2nd line化学療法と放射線療法を施行して寛解した。さらに約4ヵ月後, 右頬部, 舌右半分に痺れが出現し, 悪性リンパ腫の中枢神経浸潤と判断した。化学療法(High dose Methotrexate, Vincristine)を施行したが, 徐々に症状が悪化して死亡した。