維持透析中と腎移植後において妊娠・分娩が可能であった1症例
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概要
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29歳女。患者は慢性糸球体腎炎と診断され、血液透析が導入された。その後、献腎移植を受け、3年後に嘔吐が出現し、妊娠5週目と判明した。維持透析中の妊娠経過は、血液透析を週4回から最大6回に増やしたが、妊娠20週に子癇を伴う妊娠中毒症を発症して切迫早産の危険も生じた。更に妊娠27週には子宮内発育遅延も認められたが、結局、患者は妊娠34週に帝王切開にて870gの女児を出産した。これまで腎移植後の妊娠適応についてはJohn等が、1)移植後2年を経過し全身状態が良好であること、2)蛋白尿・高血圧・拒絶反応がないこと、3)最近の尿路検査で水腎症がないこと、4)腎機能が安定していること、5)免疫抑制剤が維持量投与に達していること、などがあげられているが、本例もその基準を満たしており、妊娠分娩については維持透析中よりも腎移植後の方が安全に行なえると考えられた。
- 泌尿器科紀要刊行会の論文
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