超音波検査法による開腹術後患者の下肢筋組織厚および皮下脂肪厚の評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
術後の健康回復の促進に向けた看護ケアの基礎的資料を得るため,超音波診断装置(周波数は7.5MHz)を用いて,開腹による胃あるいは大腸手術を受けた患者を対象に,手術経過に伴う下肢の筋組織厚および皮下脂肪厚の変化を明らかにした.術前,術後離床日,術後10日目,術後20日目の合計4回,下肢の大腿直筋上,大腿二頭筋上,長指伸筋上,ヒラメ筋上にプローブを当て,組織厚を測定した.開腹による胃または大腸手術を行なった患者のうち,合計4回の測定結果が得られた16名を分析対象とした.4箇所の測定部位の筋組織厚および皮下脂肪厚をそれぞれ合計し,筋組織厚総和および皮下脂肪厚総和を算出し,術前値との比較を行なった.その結果,下肢の筋組織厚総和は,術後離床日,術後10日目,術後20日目に有意な減少を認めた.一方,下肢の皮下脂肪厚総和は,術後には有意な減少を認めず,ほとんど変化しないことが明らかになった.胃手術群と大腸手術群の比較においては,胃手術群は,術後10日目から術後20日目にさらに減少し,回復の傾向を示さなかったが,大腸手術群は,術後10日目から術後20日目に下肢の筋組織厚が回復の傾向を示した.よって,開腹術後患者,特に胃手術患者に対して,より細やかな看護観察と栄養評価,および食事摂取量を増やす看護介入の必要性が示唆された.In order to obtain basic data for use in postoperative nursing care intended to promote the recovery of patients after surgery, the authors examined postoperative changes in lower limb muscular tissue thickness and subcutaneous fat thickness by ultrasonography (7.5 MHz) in patients who underwent open surgery of the stomach or large intestine. The ultrasound probe was placed on the skin above the following muscles: quadriceps femoris, biceps femoris muscle, extensor digitorum longus, and soleus. Measurements were taken on 4 occasions: before surgery, and on the 1st, 10th and 20th day after postoperative mobilization. Of all patients who underwent open surgery of the stomach or large intestine, 16 patients were selected for analysis and ultrasonic measurements. Muscular tissue and subcutaneous fat thicknesses at each of the four sites of measurement were totaled to yield measures of total muscular tissue and total subcutaneous fat. Postoperative and preoperative parameters were then compared. The total lower limb muscular tissue thickness at each of the 4 postoperative measurement points was significantly less than the preoperative thickness, whereas the total lower limb subcutaneous fat thickness showed no significant decrease after surgery and remained almost unchanged from the preoperative value. Comparing patients undergoing different types of surgery, leg muscular tissue thickness showed a tendency to recover on the 10th and 20th day after surgery in the colorectal surgery group, while the gastric surgery group showed further decreases in this parameter on the 10th and 20th day, with no trend towards recovery evident over the timeframe investigated. These results suggest the necessity of active nursing intervention for patients after open gastric surgery.G2
- 2003-03-31
著者
関連論文
- "安全な早期離床"を支える--急性期リハビリテーションのための観察とアセスメント (特集 もう迷わない!一問一答 急性期患者の"安全な早期離床"を目指す観察とアセスメント)
- 急性期のベッドサイドでよく使われるアセスメントツールの使い方 (特集 もう迷わない!一問一答 急性期患者の"安全な早期離床"を目指す観察とアセスメント)
- 半側の運動麻痺がありつかめない,歩けない,寝返りができない,手が上げられない,足が上げられない,バランスがとれない (自立生活を回復させるニューロリハビリ看護 決定版--フローチャートで今必要な援助がわかる) -- (リハビリの視点でみる脳卒中の病態と看護ポイント)
- 脳梗塞患者の看護 (ナーシングプロセス 脳梗塞患者の看護)
- 超音波検査法による開腹術後患者の下肢筋組織厚および皮下脂肪厚の評価
- 臥床日数が開腹術後患者の下肢筋組織厚減少に及ぼす影響
- 診療費の情報提供と病院の満足度に関する調査
- 術後安静期間が延長した2事例における下肢筋組織厚,エネルギー摂取量,行動範囲の変化
- Changes in the thickness of leg muscles before and after laparotomy
- 開頭術後合併症の予防と対策 (3ステップでわかる 脳神経疾患看護技術--確認問題で理解度をチェック!) -- (レベルアップ 合併症対策・機能障害への看護,手術以外の治療にかかわる看護をマスター)
- ブレイン・アタック 脳卒中で発症3日間のリハビリテーション看護 (特集 予後が変わる! 『超急性期3日間を乗り切る』モニタリング技術と看護)
- 日本国内における脳腫瘍の看護研究の動向
- ADLや運動機能に関連する脳神経疾患患者に必要な評価 (特集 慢性期を見据えた急性期からのADL向上ケア--このケアが慢性期を変える!)
- 急性期におけるADL向上ケアの目的 (特集 慢性期を見据えた急性期からのADL向上ケア--このケアが慢性期を変える!)
- 脳浮腫のある患者のケアに求められる看護のエビデンスは何か (特集 エビデンスに基づく脳卒中ケア--脳卒中治療ガイドラインを臨床ケアに活用する)
- リハビリテーションの必要な患者を受け持った学生の学び
- 脳神経疾患の転倒・転落--文献から見た要因の検討 (特集 新人でもできる転倒・転落アセスメント--抑制も含めて)
- 自立度を保ちながら行う転倒・転落予防のための環境整備 (特集 新人でもできる転倒・転落アセスメント--抑制も含めて)
- 転倒・転落の予測のためのアセスメントツール (特集 新人でもできる転倒・転落アセスメント--抑制も含めて)
- Effects of intervention with back-lying exercises with bent knees pointing upwards to prevent disuse muscle atrophy in patients with post-stroke hemiplegia
- リハビリテーションの必要な患者を受け持った学生の学びについて
- 看護学生が初回基礎看護学実習で興味・関心を抱いたこと
- 意識障害を有した患者を受け持った学生の実習での学び--実習記録の内容分析より
- 臨地実習で糖尿病患者を受け持った学生の学びの分析
- 糖尿病を有する人に対する看護介入とその評価の現状--国内での文献検討から
- 看護学生の実習開始前と終了後の観察の相違に関する検討--術後急性状況のモデル人形を用いたバイタルサインと酸素吸入療法の観察に注目して
- 泣いた!学んだ!伝えたい! 怠っちゃたいへん!術前・術後の処置・管理 (あのとき私が泣いた経験から 今だから言える新人ナースに伝えておきたい看護の基本)
- 臨地実習における学習内容に対する学生の到達度の認識--臨地実習開始前,中,後における自己評価の変化の分析から
- 急性期からの合併症予防とリハビリテーション (特集 新人ナースのための脳神経疾患 術前・術中・術後の看護)
- チューブ・ドレーン挿入中の看護 (特集 新人ナースのための脳神経疾患 術前・術中・術後の看護)
- 受け持ち手術患者の継続的看護実習の学習成果
- 開胸・開腹術後に持続硬膜外麻酔を行った患者が体験する術後疼痛の変化
- 学生の術後看護問題状況の分析能力育成のための教育方法の検討 : 事例演習の活用
- 脳血管障害患者に対する継続的生活指導教室を体験した学生の学習成果の検討
- 手術を受ける患者の効果的な事例教材化の検討 : 学内における紙上患者による学生の看護問題抽出傾向より
- 脳血管障害慢性期における看護ケアの分析 : 脳梗塞在宅治養患者の1事例を通して
- 成人看護学実習における実習指導方法の検討 : 開腹術後患者に対する学生の看護情報のとらえ方の分析から
- 成人臨床実習前後の看護学生の精神障害に対する態度の変化
- Glasgow Coma Scale を用いた意識レベル評価の効果的運用
- 成人(青年期看護学生)のストレスとその対応方法
- まとめ 治療と看護 (イラストでわかる脳神経外科手術と術式別ケア)
- 片麻痺擬似体験後のレポート分析からみた看護学生の片麻痺患者に対するイメージの変化
- 自己評価からみた課題学習に学生の関心の高いテーマを取り入れた臨地実習の効果
- 急性期モデル人形を用いた学生の観察力評価の検討
- 臨地実習における摂食・嚥下障害患者の食事支援時の学生の実習記録分析
- 臨地実習での学習内容に対する学生自己評価の変化--成人看護学臨地実習で興味・関心のあるテーマを課題学習に導入した場合と導入しなかった場合の比較から
- 遷延性意識障害患者に対する意識回復支援についてのエビデンス (特集 なぜこうしなければならないの? エビデンスから見た看護技術)
- Study on factors related to loss of lower extremity muscle mass in elderly acute stroke patients
- 術後患者観察における看護学生が行う観察・判断状況--実習前・後のモデル人形を用いた排液観察の調査から
- 乳癌縮小手術(乳房温存術,胸筋温存乳房切除術)を受けた患者の術後回復過程に関する研究(1)肩関節可動域の回復遅延に関わる要因の分析
- 乳癌縮小手術(乳房温存術,胸筋温存乳房切除術)を受けた患者の術後回復過程に関する研究(2)患者の術式選択時の情報提供のための術式回復過程の比較
- 10年前と現在の看護学生の比較からみた職業関心領域の変化
- 看護学生の学年別職業興味の比較
- 指圧を看護ケアに取り入れた事例の文献検討
- 術前看護--脳神経疾患患者の術前準備(予定手術・緊急手術) (特集 新人ナースのための脳神経疾患 術前・術中・術後の看護)
- 急性期重症失語疾患者における日常会話状態の検討
- バッグマスクでの人工呼吸法を用いた心肺蘇生演習での学び--演習記録の内容分析より
- 脳神経系の疾患によく用いられる検査と看護 (特集 今日からあなたもひとり立ち! 脳外科看護の押さえどころ)
- ベッド上における背面開放と非開放の座位姿勢時の自律神経活動の変化
- 30°側臥位は褥瘡予防に有効か? (特集 なぜこうしなければならないの? エビデンスから見た看護技術)
- 脳神経ナースのブラッシュアップ講座 看護研究をしよう、学会へ行こう(13)学会発表の準備(2)ポスターおよび発表原稿の作製から発表当日まで
- 脳神経ナースのブラッシュアップ講座 看護研究をしよう、学会へ行こう(12)学会発表の申し込みからスライド作製まで
- 脳神経ナースのブラッシュアップ講座 看護研究をしよう、学会へ行こう(11)論文を書こう(3)図・表を作成しよう
- 神経症状(神経学的所見)と異常 (特集 マンガでわかる! 脳神経病棟の急変対応)
- 再確認! バイタルサインと基準値 (特集 マンガでわかる! 脳神経病棟の急変対応)