犬の原発性甲状腺機能低下症と甲状腺機能検査の応用と評価
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概要
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歩行困難を主訴としたゴールデンリトリバー、4才、雌を、原発性甲状腺機能低下症と診断した。症例犬は、典型的な一般臨床所見の変化を示し、とくに、左右対称性脱毛、皮膚の高度色素沈着や皺状の肥厚、脂漏、粘液水腫様非圧窩性浮腫などが認められた。臨床病理学的検査では、貧血、高コレステロール血症、血清サイロキシン(T_4)値(0.4μg/dl)ならびにトリヨードサイロニン(T_3)結合能指数(TBC index)(0.88)の低下が認められたが、血清蛋白結合ヨード(PBI)値(2.8μg/dl)は、正常対照群(15頭、3.30±1.58μg/dl)のそれと著差はなかった。これら3種類の甲状腺機能検査値は、TSH試験によっても有意な上昇は認められなかった。これに対して、同試験における正常対照犬5頭のPBI値は、平均2.8倍の上昇を示した。治療には、L-チロキシンナトリウムの5~7.5μg/kgを1日1回、経口投与した。投与後1カ月間に、一般臨床所見の著しい回復が認められた。病理組織学的所見では、甲状腺の萎縮が著明で、重度な濾胞の破壊と線維性結合組織による置換が著明であった。既報の成績とともに甲状腺機能検査の応用と評価について考察を加えた。
- 日本獣医師会の論文
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