「る・らる」における肯定可能の展開
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概要
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可能の「る・らる」は,中古では否定可能を表す用法しか持たず,中世になって肯定可能を表す用法が現れたと言われている。本稿では,通説の検証を行いながら,肯定可能の「る・らる」の展開を描く。まず,実現の有無という観点から肯定可能を<既実現可能><未実現可能>の2類に分け,事態の性質によって,I既実現の個別的事態,II恒常的事態,III一般論,IV未実現の個別的事態の4種に分ける。その上で,中世以前はI〜IIIの<既実現可能>に留まり,IVの<未実現可能>は近世に現れることを示す。また,<未実現可能>が出現した要因を,未実現の事態の表現方法の変化のなかに求める。
- 日本語学会の論文
- 2013-10-01
著者
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