ミャンマー(ビルマ)から見つかったキサゴゴケ属(キブネゴケ科;蘚類)の新種Hypnodontopsis spathulata
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概要
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ビルマからキサゴゴケ属の新種,H. spatulata H.Akiyama & A.Tanakaを報告した.本種の葉はその形がoblongからspatulateで明らかにH. apiculatusに近縁であるが,中肋が葉頂に達せず葉頂部の細胞は葉身細胞と変わらないこと,〓歯は〓口から深く沈んだ位置に生じ,それぞれの歯は幅がより狭く上部では狭披針形となること,そしてカリプトラがcucullateする点で異なっている.キサゴゴケ属には,現生種として日本固有のH. apiculatusとメキシコとウガンダに分布するH. mexicanaの2種が知られている.また,ヨーロッパの新生代琥珀中に封じられた化石種としてさらに2種(H. confertus(Goeppert & Berendt)J.-P.FrahmならびにH. fossilis J.-P.Frahm)が報告されている.化石種H. confertusは現生種のH. mexicanaときわめて類似した形態をしており,Baltic(バルト地方)とSaxonian(ドイツザクセン地方)の琥珀からはかなりの数が知られている.これに加えてH. mexicanaが中米とアフリカという地理的にかけ離れた場所から見つかっていることを考慮すると,少なくとも新生代第三紀の4500万年〜5800万年前には,H. mexicanaは当時のヨーロッパからアフリカ地域にかけての広範囲に分布していたのではないかと推定されている.ビルマの西部山岳地から今回あらたに5番目の種(現生種としては3種目)が見つかったことは,キサゴゴケ属がアジア地域においても広く分布していたことを示唆すると考えられる.
- 日本蘚苔類学会の論文
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