1994年分税制改革後の中国における共有税システム
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概要
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中国では、1994年に導入された「分税制」と呼ばれる基本的な税財政制度の枠組みの中で、国家権益の保護やマクロ・コントロール機能を持つ税目は中央税、経済発展に直接関わる主要税目は共有税、地方の徴収管理に適する税目は地方税、と位置付けられている。しかし、その後、中央も地方も分税の本旨をそっちのけに財源を奪い合ってきた。中央や省政府は自らの財政収入を増加させるため、様々な手管を弄してきたことも判明した。結果的に、本来政府間で税目を分けるはずの分税制が変容し、共有税化が加速度的に進んでいる。歯止めかからぬ共有税化の動きには、分税制を共有税が支えると言う皮肉さえ感じられる。分税制の導入から二十年間の歳月を経た、現在の共有税システムについて言えば、94年当時と比べて有利な扱いを獲得したのは、中央や省のような上位政府層である。羊頭狗肉の現行分税制を改め、本物に近付けるための取り組みは待ったなしと言えよう。
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