東日本大震災域の海岸植生および社叢の再生 : 自然と地域のレジリエンス
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概要
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東日本大震災(2011年3月)において大きな影響を受けた海岸植生および社叢15カ所の生態調査を実施し,社叢と海岸植生の現状を把握するとともに地域生態系とレジリエンスの関係について考察した。海岸林のクロマツPinus thunbergii は流出,根返り,倒伏が多くみられたが,2013年10月には旧堤防や砂浜後背地でクロマツの萌芽や実生が多く確認された。砂浜にはウンランLinaria japonica,オカヒジキSalsola komarovii,ハマニガナIxeris repens といった海浜植生の再生が認められた。その一方,砂浜にはオニハマダイコンCakile edentula,後背地にはニセアカシアRobinia pseudoacacia といった外来種の繁茂が確認された。社叢に植栽されていたスギCryptomeria japonica やクロマツの大部分が津波による浸水で流出,立ち枯れていたが,枯死木と生存木の胸高直径に有意差はなかった。社叢周辺の地域住民の避難は2012年7月時点でまだ継続しており,社叢の再生にとりかかっているところはきわめて少ない状況であった。社叢の保全と再生には地域の人々が営みを始めることが何より重要であり,地域のレジリエンスと社叢の保全は相互に関係していると考えられる。
著者
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