時間に関わる二重課題での心理的処理資源配分
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概要
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人間が同時に2つの課題(二重課題)を遂行する際にみられる課題間の干渉やパフォーマンスの低下は,課題の遂行に必要とされる資源が制約されている,ということに関係して説明される(処理資源理論[1]).本研究では,経験によってあらかじめ記憶した時間間隔(1秒)を再生する課題(タイミング課題)を用い,二重課題が時間的正確性や感覚刺激順序判断へ与える影響を明らかにし,心理的処理資源の配分や競合に関する知見を得ることを目的として実験を行った.実験課題は,視聴覚刺激に対して素早くボタン押しを行うスピード課題と,刺激呈示開始から1秒後にボタン押しを行うタイミング課題であった.実験1では,時間に関わる二重課題が時間的正確性に与える影響を明らかにすることを目的として実験を行った.その結果,視聴覚刺激に対しタイミング課題が求められた条件において,第2刺激に対する1秒再生時間か延長する傾向がみられた.さらに,両刺激に対しスピード課題が求められる条件では刺激順序判断が出来ていたにも関わらず,タイミング課題が求められる条件では出来なくなるという結果が得られた.実験2では,Go/No-go条件の追加による認知的負荷の増大が,視聴覚刺激順序判断に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実験を行った.実験結果から,第1刺激に対する1秒再生精度の低い被験者について,Go/No-go条件の追加が第2刺激に対する1秒再生時間に影響を及ぼすことが示唆された.さらに,全被験者について,Go/No-go条件の追加は刺激順序判断に影響を及ぼさないことが示唆された.
- 一般社団法人電子情報通信学会の論文
- 2013-03-06
著者
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