聴覚時系列暗唱課題に伴う脳活動変化の近赤外分光法による計測
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概要
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本研究では,脳の時系列処理時と音色処理時の脳が活性化する部位,傾向に関する知見を得るために近赤外分光法(NIRS)を用いて左半球の側頭葉周辺の脳活動計測を行った。聴覚呈示は,ランダムな6種類のモールス符号をランダムな6種類の音色で構成し,被験者に呈示した。被験者の聴覚呈示に対する注意の違いにより,3つの課題に分けて測定した。課題1では,被験者はモールス符号の時系列のみに注意し,音色は無視した。課題2では被験者は音色のみに注意し,時系列は無視した。課題3では,被験者はモールス符号の呈示個数の1の桁(10進数)のみを数え,これを課題1,2と比較するためのコントロール課題とした。結果は,課題3では聴覚野の狭い範囲でのみ[Oxy-Hb]が有意に変化したが,課題1では聴覚野以外にBroca野周辺でも有意に変化した。課題2では聴覚野以外に側頭葉全体でも有意に変化した。これらは,音に注意しなくても聴覚野は活動し,注意の違いにより違う部位が活動することを示唆した。また,課題ごとに,刺激呈示時の[Oxy-Hb]の変化のしかたを見るために加算平均を行った。その結果,課題2で最も[Oxy-Hb]が変化した。また,課題1,3は聴覚呈示開始後すぐに[Oxy-Hb]が増加し,聴覚呈示終了後すぐに減少するのに対し,課題2では変化し始めるまでに時間遅れがあった。これにより,課題内容,活動部位によって[Oxy-Hb]の増減のしかたが異なる事が示唆された
- 2011-02-28
著者
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