ササのセミ・クラフトパルプ(第4報) : ササのセミ・クラフトパルフとシラカンバパルプとの混合(会員研究発表講演)

概要

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木材の不足が叫ばれている今日,北海道の奥山を郷土として大量に自生しているササ,とくに大型のネマガリダケ(Sasa senanensis)は有用な林産工業資源として顧りみられなければならない。過去の研究の結果,ササはパルプ化に際し木材よりも蒸解され易いが,収率および強度は低いという点が指摘されており,その改善法として1964年からササのセミ・クラフトパルプの研究をおこなっている。これ迄に最適条件として,活性アルカリ添加率10〜15%,硫化率12.5〜25%,蒸解温度160℃,同時間90分の条件を見出した。その際えられたパルプの性質はササ一般クラフトパルプにくらべ,強度に遜色なく,高収率の点で良好で,同一条件の木材パルプにくらべ収率は数%低いが,白色度と低フリーネス段階での引裂強さは高く,引張り,破裂強さにおいておとっていた。これらの結果をもとにして,本研究ではササのセミ・クラフトパルプの強度上昇を目的に,ササ単煮パルプにシラカンバパルプを種々の割合で加えて,物理試験をおこなった。なお今回は両者の混煮はおこなわなかった。
北方森林学会の論文
1966-12-25