虚偽事実の無意図的な共同生成と証言者の年齢特性 : 幼児と大人の語り合いはどうすれ違うか(<特集>法と心理学の可能性)
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概要
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本研究では虚偽事実の無意図的な共同生成過程に証言者の発達段階がどのように関わるかを明らかにする。ある出来事に関して、10名の幼稚園児を対象に大人の聴取者が繰り返し聞き取りを行い、さらにそのうちの7名は3年後にも二度の聞き取りを行った。幼稚園児は個別に聞き取りを受けており、また聴取者も誘導尋問をしてはならないと言われていたにもかかわらず、その出来事に関する虚偽の物語が無意図的にかつ一致して形成された。聞き取り場面に於ける談話の分析を通し、3年の間に子どもの想起に対する態度が、自分が想起した内容と過去の事実との差に無頓着に見えるものから、両者を明確に区別するものへと劇的に変化することが明らかになった。聴取者は想起に対する幼稚園児の態度が自分たちとは全く異なることに気づかないまま彼らの談話に不適切な解釈を行い、意図せず誤った方向にその想起を導いた。この結果は、幼児の証言が「存在論」に関する彼らの発達水準を反映するものであることを示唆している。
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