自閉児の弁別逆転, 部分逆転学習について(<特集>痛みの行動療法(II))
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概要
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10名の自閉児(平均DA 4:11,平均CA 10:9),10名の発達遅滞児(平均DA 4:6,平均CA 9:1),10名の健常児(平均CA 4:11)が三つの視覚的弁別逆転課題を施行された。三つの弁別逆転課題とはNR,PR,R課題で,NRは原学習の負刺激が正刺激に変わり,PRでは原学習の正刺激が負刺激に転換され,Rは正負両刺激が逆転されたものである。-NR,PRでは,逆転学習で逆転されていない負刺激or正刺激は新しい刺激におき変えられる。結果は次の通りである。三つの群共,原学習の学習基準に達するまでの平均試行数では有意差がなかった。自閉児群,発達遅滞児群はすべての逆転課題の成績が健常児群より劣る。健常児群では課題間に差がみられた。すなわち,RはPR,NRよりパフォーマンスがわるく,PR,NRには差異がみられなかった。発達遅滞児群は三つの課題とも,有意な差はみられなかった。しかしながら,自閉児群は,学習基準に達するまでの試行数では三つの課題とも,有意な差はなかったが,逆転13試行目までの正反応率でみると,RはPR,NRより劣ることを示した。この結果では新奇刺激は学習に有効に働いたことになる。結果をまとめると,自閉児,発達遅滞児は以前に獲得した習慣を制止する能力に欠け,逆転学習全体では新奇刺激は学習にマイナスに働いたことになると言えよう。
- 日本行動療法学会の論文
- 1983-09-30
著者
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