高機能広汎性発達障害児をもつ母親の子どもの捉え方と その変容過程 : 療育プログラムに参加した母親を対象とした質的研究
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概要
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本研究では,児童デイサービスで行われている療育活動に参加した5〜6歳の高機能広汎性発達障害 児の母親3名を対象に,母親が療育プログラムに参加する中で子どもをどのように捉えるのか,その 変容過程を検討した.自由記述による質問紙調査および半構造化面接で得られたデータを,グラウン デッド・セオリー・アプローチの手法によって分析した.その結果,母親の子どもの捉え方や感情体 験には以下のような変容過程が認められた.療育プログラムに参加した初期においては,子どもにつ いての様々な問題を抱え,その問題の原因や対応の仕方も手探りの状態にあり,サポートとなるもの も捉えられず心理的に不安定な状態にあったが,同時にこれから開始される子どもの療育プログラム に期待を抱いていた.実際に療育プログラムが始まると,子どもは原因不明の激しい行動を表出する ものとして捉えられた.その後,子どものもつ未熟さや困難さ,能力の低さが注目され,そして療育 プログラム後期においては周りの集団や人との関わりの中で見られるズレやそこで起こる問題が取り 上げられるようになった.このような母親の変容過程は,子どもの障害に対する否定的な感情体験と 肯定的な感情体験の間で揺り動かされながらも,子どもの障害に向き合い,これに不断に適応しよう としている「適応過程」として特徴づけることができると考えられる.
- 川崎医療福祉大学の論文
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