児童の話し方に着目した物語文読解授業における読みの生成過程の検討 : D.バーンズの「探求的会話」に基づく授業談話とワークシートの分析
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概要
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本研究の目的は,D.バーンズの「探求的会話」という概念に基づき,児童の話し方に着目してクラス全体での話し合いにおける他者との相互作用を通した児童による考えの生成過程と,それを促す教師の役割を明らかにすることである。小学4年生の物語文読解授業におけるクラス全体での話し合いの授業談話と,話し合い前後のワークシートの記述を分析したところ,以下の3点が示された。第1に,バーンズが「探求的会話」における典型的な特徴として挙げた言い淀み,躊躇,不適切な助詞の使用,主述の不一致といった不完全な話し方によって語られた読みが,話し合いにおける他児童やテキストとの対話的な相互作用の中で生成されていることが示された。第2に,話し合い後の他児童による書き込みの量やスタイルから,そのような修辞的・構文的に不完全な話し方によって語られた新たな読みが,多くの児童の聴くという行為を促しているだけでなく,聴き手の児童によるさらなる読みの生成を促す契機となる可能性が示唆された。第3に,「最終稿」としての児童の発言を,教師がその言葉を用いながらさらに解釈を加えて,問いの形で全体へと返すことで,「探求的会話」が展開していることが示された。ただし,何を探求するかにより,必ずしも読みの生成を聴き手に促す契機になるわけではないことも示唆された。
- 2013-03-31
著者
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