日本の初期盲学校の創設理念とその達成状況に関する検討 : 高田・福島・東海3校の比較
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概要
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本論文は、日本の盲学校のなかで比較的早期に創設された高田訓矇学校・福島訓盲学校・東海訓盲院を対象として、創設者たちが提起した創設理念を検討し、それが順調に達成されなかった理由について検討することを目的とする。その創設理念では、鍼按灸の技術向上による自活力の育成だけではなく、3校ともに盲人が創設運動に関与して、盲人の社会的地位の向上が目指されていた。この創設理念は、医師、教育者、地方名望家と政治家、宗教家をはじめ、地域に受け入れられた。しかし3校ともに、盲学校経営の責任者がさまざまな理由で不在となったために、創設理念の達成は困難となった。盲学校を維持するには、特定個人の献身は必要条件だったが、創設理念を達成するには学校経営能力も不可欠だった。生徒数の増加に伴って増える経費に対応可能な地域資源も必要条件だった。
- 2012-03-30
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