がんの最新治療各論(9)大腸がん

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大腸がん治療は、近年各領域でめざましく進歩してきた。早期がんでは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われるようになった。ESDは20mm以上の病変でEMRよりも一括切除率が高かった。これまで粘膜内にとどまる癌であっても、水平方向の大きさが大きいために手術を余儀なくされてきた病変が内視鏡で治療が完遂できるようになりつつある。,大腸癌の治癒切除後の5年生存率は著明に向上している。直腸癌の手術では自然肛門および排尿・性機能の温存と根治性の確保が課題であった。Double stapling technique(DST)による超低位前方切除術とintersphincteric resectionの導入により肛門に近い癌においても自然肛門の温存が可能となってきている。,腹腔鏡手術の導入は本邦の大腸癌手術を変えつつある。腹腔鏡下手術は開腹手術と比較して、手術時間は長いが出血量が少なく、良好な短期成績が示されている。本邦で行われた集計によれば開腹移行率は4.4%であった。進行癌への適応拡大については開腹手術と比較した遠隔成績が解析不十分であるため、浸潤傾向の強い癌やリンパ節転移が高度である場合などでは慎重に行われるべきである。しかしながら近年では、手術手技の向上や定型化により開腹手術に劣らない遠隔成績が報告されつつある。,多剤併用による化学療法の発達は切除不能進行再発大腸癌の予後を飛躍的に向上させた。緩和治療のみでの予後は6か月であったが全生存期間(OS)は24か月と改善している。多剤併用療法の標準レジメンとしてFOLFOX療法とFOLFIRI療法があり、これに分子標的薬の組み合わせが用いられる。レジメンにより特徴的な副作用があり症例によって使い分けることが大切である。,治癒切除後の補助化学療法では、StageIIIおよびハイリスクStageII結腸癌に対して術後6か月間の投与の有用性が確認されている。,今後、腹腔鏡下手術でのreduced port surgeryやneedlescopic surgery、さらにロボット支援手術の応用が期待される。
2013-08-25

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