1990年代のアメリカ北西部太平洋岸地域における林業・木材産業の構造変化 : オレゴン州を事例として(<特集>海外林業の最新動向)
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概要
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1980年代、米材の大量輸入は、もはや国際競争力をもてなくなった日本林業に決定的なダメージを与えた。その日本への木材輸出の中心舞台であったアメリカ北西部太平洋岸地域(以下、PNW地域)の林業・木材産業も90年代には、マダラフクロウ問題に代表される環境問題を契機として、私有林化、人工林化、小径木化の中で、日本に対する輸出競争力を失い、アメリカ国内においても相対的な林業の地位を低下させる動きがみられたのである。しかし、今日のPNW地域は一方的に地位を低下させているだけではなく、(1)90年代末から2000年初頭にかけては少なくとも低下傾向を食い止めていること、(2)今後人工林資源の伐採増加が見込まれ、原木事情に多少明るい展望が見えていること、(3)新技術を持った高性能の小径木製材工場への投資が積極的に行われており、木材産業の潜在的生産力は向上しつつあることなど、ローカル市場への販売を軸に新たな再編の動きが明らかになった。
- 2004-04-20
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