金日成と資源配分の効率性 (情報社会学部特集号)
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概要
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本論は、金日成の著作を資源配分上の効率性という観点から解釈する。金日成の著作については、当初のものではソ連に対する賛辞が頻出していたがその後無くなったこと、最高権力者の金日成だけができる北朝鮮社会の批判があるから、実態を知る手がかりになること、体制の問題点を下部に転嫁する役割を果たしていること、北朝鮮社会の一種の経典になっているなどの指摘がこれまでなされている。本稿は金日成の教示として頻出する語や著作集に掲載されている法令を読み込んで、北朝鮮社会の実態を資源配分上の効率性という視点から考える。北朝鮮経済の停滞の重要な要因は、金日成に対して意見具申して労働生産性の向上をはかることができないこと、相対的に稀少な資本の輸入を外資による直接投資の許容により実施し、相対的に豊富な労働を多く用いた財の生産に資源を集中するという途上国の条件を生かした経済政策が実施できなかったこと、親日派や地主の粛清と追放は人的資源の損失であること、不満表明の禁止による労働生産性向上への誘因低下などである。
- 2013-01-15
著者
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