「資源の呪い」と貧困の罠 (経済学部特集号: 山本恒人教授、佐々野卓実准教授退職記念号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の課題は、天然資源収入、あるいは公式部門で享受できる利権をめぐって合法的な企業と犯罪者が抗争している社会で、抗争を緩和し経済を「資源の呪い」による「貧困の罠」から脱却させる政策を検討することである。我々のモデルは主にOlsson & Congdon Fors(2004)に基づいているが、犯罪者(反乱者)が地下経済で賃金を得ること、恐喝(犯罪活動)には道徳的苦痛という費用を伴うと想定しているという点で異なっている。分析により、合法企業が先導者、犯罪者が追随者となる場合で抗争を緩和するためには、犯罪者が地下経済から得る賃金を上昇させること、犯罪者を啓蒙して道徳心を向上させること、犯罪者が天然資源収入や利権の価格について悲観的な予想をさせるようにすべきであることがわかった。また合法企業による均衡の防衛労働は、天然資源収益(利権)に依存しないという、Olsson & Congdon Fors(2004)とは異なる結果を得た。犯罪者が先導者、合法企業が追随者となる場合には、犯罪者側が天然資源収入をすべて取得する均衡が存在しうることがわかった。
- 大阪経済大学の論文
- 2011-07-15
著者
関連論文
- 独裁体制、独裁者の視野と崇拝労働(経済学部特集号:瀬岡吉彦教授退職記念号)
- 独裁体制、個人崇拝と資本蓄積(経済学部特集号)
- 北朝鮮への援助を考える (伊藤武教授 古稀記念号)
- 北朝鮮における体制維持労働のミクロ的基礎 (経済学部特集号:松原和男教授 上島武教授退職記念-資本主義の行方-)
- スターリニズムのミクロ的基礎 (経済学部特集号・地域政策学科開設記念)
- 制度と制度変動,文化信念
- 情報と企業行動
- 北朝鮮の飢饉について
- 日本経済の安定的成長と経済,公共政策
- A Critique of A Soft Landing Policy Toward North Korea
- 「規制緩和」「市場主義」と政府の役割
- 土地保有税・地代税,転用費用と開発時点 : Anderson モデルの一検討
- 土地保有税の税率と土地開発時点
- 土地保有税・開発費用と開発時点
- 土地税制について
- 土地保有税と土地供給者の開発時点
- 地価の一時的決定について : 金融政策の地価への影響
- 中国の生産関数の推計 (経済学部特集号:松原和男教授 上島武教授退職記念-資本主義の行方-)
- 経済発展と人的資本 : 日韓比較 (経済学部特集号・地域政策学科開設記念)
- 韓国の学歴別賃金格差構造と課題
- 独裁体制の経済理論序説 (経営情報学部特集号)
- 官僚の忠誠心、税収横領と途上国経済の変動 (奥田聡講師追悼号)
- 「資源の呪い」と貧困の罠 (経済学部特集号: 山本恒人教授、佐々野卓実准教授退職記念号)
- 金日成と資源配分の効率性 (情報社会学部特集号)
- 独裁体制の溶解と闇市場・治安維持機関 (山田裕康教授追悼記念号)
- 社会主義独裁体制と革命費用
- 社会主義独裁体制と世界革命路線 (経営学部特集号)
- 独裁体制における経済停滞と労働配分,個人崇拝 (八木田恭輔教授追悼号)