向精神薬内服歴を有する妊産婦の精神症状の増悪に関連する要因 : 分娩から1ヵ月健診までの検討

概要

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【目的】向精神薬内服歴を有する妊産婦における分娩後の精神症状の増悪に関連する要因を明らかにする。【方法】2003年1月〜2010年4月に当院で分娩した11,454名(死産を除く)のうち,精神障害を既往もしくは現疾患とし向精神薬内服歴を有する153名を属性,周産期経過,精神障害関連項目について後方視的に調査した。分娩から1ヵ月健診までに,精神症状が再発・増悪し向精神薬の内服を再開・増量した場合を「増悪あり」,精神症状が安定し向精神薬を再開しなかった場合や増量せず妊娠中と同量内服であった場合を「増悪なし」とし,各項目について比較した。【結果】153名のうち, 43名(28.1%)が増悪していた。増悪なし110名(71.9%)と比較すると,周産期経過に問題を有する(オッズ比(OR):2.0〜7.0[複数項目あり]),向精神薬内服開始から1年未満(OR:11.0),睡眠障害(OR:5.8)で有意に増悪した(P<0.05)。【考察】向精神薬内服歴を有する妊産婦が「周産期経過に問題を有する」「向精神薬内服開始から1年未満」「睡眠障害」に該当した場合,分娩後に精神症状を増悪させる危険性が高まると示唆されたことから,この3項目は症状増悪の予防的ケアを検討するうえで重要な視点となる可能性がある。
2013-01-00