在華宣教師の洋学資料に見える三字語 : 蘭学資料との対照を兼ねて
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概要
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本稿は,先に発表した小論「蘭学資料の三字漢語についての考察─明治期の三字漢語とのつながりを求めて─」(朱2011)の続編である。現代日中両国語では,三字語の語構成がほぼ同じで,同形語も数多く存在している。その背後に,どのような日中語彙交流の歩みがあったかを解明するのが,先の小論と本稿の目的である。先の小論に続き,中国語側の三字語の状況を明らかにしようと思い,宣教師資料をとりあげたのであるが,日中双方の対照研究がしやすいように,蘭学資料の場合とほぼ同じ調査方法やデータの集計・分類方法を用いた。宣教師資料の三字語については,前部二字語基と後部一字語基に分けてそれぞれの性質を検討した上で,蘭学資料との比較対照を行なった。その結果,中国語では,近代以前から,少なくとも宣教師資料において,2+1型三字語の造語機能がすでに備わっていたこと,蘭学資料の三字語は,語構成パターンの面で中国語からの影響を受けながらも,後部一字語基の機能が強化され,同一語基による系列的・グループ的な三字語の創出へ進化を遂げたことなどを明らかにした。
- 2011-05-00
著者
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