視覚障害のある高齢者(盲老人)の日常生活動作能力(ADL)と援助
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概要
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視覚障害のある高齢者(盲老人)のADLを測定することによって,その要介護度を把握し,援助について考察することを目的として,(1)独自に作成したADLスケール(以下,盲老人用ADLスケール)を使用しての調査(調査1),(2)障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準(以下,寝たきり度スケール)を用いての調査(調査2)を実施した.調査対象は盲老人ホームに入所する視覚障害(盲,弱視)を有する高齢者である.盲老人用ADLスケールによる測定の結果,盲老人のADLは生活動作の場面によって大きく異なるものであった.また,寝たきり度スケールでの測定の結果,「準寝たきり」の割合が高かった.晴眼老人のADLについて先行調査を資料として比較した結果,高齢者のADLにおいて「視覚障害」というハンディが同能力全体を低下させる一要因となっていることがうかがわれた.ただし,盲老人のADLは生活動作の場面ごとに異なるものであることが指摘される.視覚障害以外の心身状況で比較的健康な盲老人のADLにおいては,単純な身の回りの動作や,普段から馴れ親しみ,移動範囲の限定された居室内を中心とする移動・行動などにおいては比較的自立可能といえるが,それ以外の動作,すなわち生活の拠点とする居室を越える範囲での移動・行動や,移動範囲が狭小であっても日常さほど習慣化されていない動作においてADLが低くなるものといえよう.
- 日本介護福祉学会の論文
- 1998-10-20
著者
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